Date:2023-06-06
植物は〈知性〉をもっている
周囲の風景に完全に溶け込んでしまっている「植物」という生き物を強く意識するようになる。植物の知られざる活動の紹介から、動物以上に優れた知性など、今まで私たちが植物に抱いていた生き物としての世界観を一変させる。
知性とは何か?
本のタイトルにもある「知性」とは何か?という根本的な概念を再考する。植物には脳はない。しかし、動物より優れた多くの感覚器官とネットワークを有し太古の昔より生き続けている。
知性という観点から無視されてきた植物にスポットを当てることで、私たちの持つ固定概念を払拭し世界の見え方が変わるのを感じる。
植物の時間軸
太古の昔から人間は生物ピラミッドの頂点に立っていると信じられてきた。そして、植物は生物ピラミッドの最下層に位置されている。それは、私たちが植物に対し「動かない」「感覚を持たない」という人間中心的に偏った認識をもっているからである。
私たちの時間軸では、植物のほとんど動くことはなく、生物と無生物の境目に位置するとみなされているが、彼らの時間軸ではしっかりと「動き」、私たちよりも多くの感覚器官を使って様々な環境を感じとっている。植物から見れば、私たちは忙しない生き物に見えているに違いない。
植物が持つ知性の根
2015年に出版され、世界中の人々に衝撃を与えた本書を執筆したひとりである植物生理学の専門家ステファノ・マンクーゾはイタリアのTEDにも登壇している。根っこという知性に注目し本と同様に植物の世界を披露している。
植物は〈知性〉をもっている
帯には「正解観の転回を突きつける刺激的な本」とあル。そうのような本をたまに見かけることはあるが、この本はまさにその通りに、植物の見方だけでなく、世界の見え方や考え方、物に対する観察眼を養う内容にある。
私たちのような何かを企画制作を担う仕事柄、様々な視点から物事を考える際、この本が訴える思考がとても役に立つように思う。
植物は〈知性〉をもっている
第1章 問題の根っこ
第2章 動物とはちがう生活スタイル
第3章 20の感覚
第4章 未知のコミュニケーション
第5章 はるかに優れた知性
初版/ 2015.11.20
ページ数/232ページ
出版社/NHK出版
言語/日本語