Date:2023-06-10
フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う
フィールド・レコーディングは単なる環境音を収録するというだけでなく、その場所、その時間、録音する人の想いやバックグラウンドの記録でもある。情報を視覚に頼りがちな日常生活の中で、あまり気づきにくい「音」という世界がとても面白い。
フィールドレコーディングとは。
フィールドレコーディンは、単に自然の中の鳥の囀りや風に揺れる木々の音、海のさざなみなどの環境音だけでなく、普段の生活の中で聴こえる、車や電車が走る音、駅のホームや街中の喧騒なども録音対象になり得る。
人の受ける情報の8割は視覚と言われ、聴覚の情報は1割ほど。録音で目を閉じヘッドフォンでモニターすると今まで気が付かなかった様々な音の世界に驚く。
フィールドレコーディングは、知覚の閾値を想像的に広げ、新たな「身体」を獲得し、異なる視点から「世界」を捉える、それは、聴覚にフォーカスをあて、取り巻く環境を聴くことにより、普段気づかなかった周囲の世界を感じることができる。
フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う
本書はざっくりと2つの構成で作られている。ひとつは、本文である筆者 柳沢英輔氏のフィールド・レコーディング及びフィールド・ワークへの向き合い方が6章。もうひとつは、入門書ととしてとても分かりやすく丁寧な技術解説コラムが5つからなる。
本文では、フィールド・レコーディングとは何かといった内容から、様々な音への向き合い方、録音(マイクロフォン)の種類、フィールドワーク、編集、作品化まで、フィールド・レコーディングに必要な一連の流れが丁寧で分かりやすい。また、本文の合間に挟まれた技術的コラムは、実際に機材を購入や、現場での様々な録音技術にとて役立つ。
普段、CMの仕事では企画ディレクションを担当しているが、これらの知識は感覚的に企画制作や現場ディレクションにとても役に立っている。そのほか、視覚をメインとするグラフィック・デザインでも、様々な感覚から世界の捉えることで想像の幅を広げることができると思う。
フィールド・レコーディング入門 響きのなかで世界と出会う
第1章 フィールド・レコーディングとは何か
コラム1 マイクロフォンとステレオ録音の方式(1)
第2章 環境の響きを録る
コラム2 マイクロフォンとステレオ録音の方式(2)
第3章 音楽の響きを録る
コラム3 レコーダーとマイクの設置(1)
第4章 聞こえない音を撮る
コラム4 レコーダーとマイクの設置(2)
第5章 音のフィールドワーク
コラム5 フィールド・レコーディング初心者のためのヒント
第6章 録音の編集と作品化
初版/ 2022.4.26
ページ数/302ページ
出版社/フィルムアート社
言語/日本語